
急成長を続ける「アンカー・ジャパン」の
ファンを創出するカスタマーサポートのAI活用
AI エージェント / アンカー・ジャパン株式会社
カスタマーエクスペリエンス本部/カスタマーサクセス リードマネージャー 前田 秀幸 氏
AIエージェント導入の効果
・ 複雑なお問い合わせ内容のお客様へリソースを多く割り当てることで、顧客満足度が向上した。
・ 1年で40%増加した問い合わせに対し、サポート対応時間を18%増加に抑えた。
・ AIにすぐ新しい知識をインプットできるため、新製品の発売サイクルが速い中でもクオリティの高い対応ができた。
課題
・ 売上の上昇とともに問い合わせが増加。対応リソースの準備が困難な状態
・ 製品数が多い中、社員の教育にかなり時間がかかる
・ セールなどの繁忙期と閑散期で問い合わせの差が大きく、採用が難しい状況があった。
アンカー・ジャパンは、2013年に日本でモバイルバッテリーの販売を開始して以来、2023年12月期には売上高494億円を達成し、今もなお急成長を続けている企業です。
その急成長の 要因の一つとして、徹底的にお客様視点に立ち、常にお客様の声をプロダクトの改善や開発に活かす姿勢があります。
アンカー・ジャパンにおいて非常に重要な役割を担っているカスタマーサクセスのリードマネージャーを務める前田さんに話を伺いました。

ー アンカー・ジャパンにおけるカスタマーサポートとはどのような部署ですか?
Ankerグループにとってのカスタマーサポートは、単なる顧客対応の部署にとどまらず、お客様の声を大切にし、それを製品やサービスの改善に積極的に活かしている部署です。
弊社のカスタマーサポートは、製品の品質向上を通じて将来的な利益を創出する「プロフィットセンター」であると位置づけています。一般的には、顧客の不満を受け止める部署と考えられがちですが、お客様の声を製品に反映させることで、より多くの「Ankerファン」を創り出すことを目指しています。
ーより多くの「Ankerファン」を作るために、顧客対応やカスタマーサポートを行なう上で大切にしていることを教えてください 。
前田さん:回答のスピードを重視しており、迅速かつ丁寧な対応がカスタマーサポートやブランドへの安心感につながることを意識しています。
特にメール対応においては、従来はお客様からのお問い合わせに対し24時間以内にスタッフが返信していましたが、「AIエージェント」を導入したことで、問い合わせが届いてからすぐに自動で返信できるようになり、よりタイムリーな対応が可能になりました。
「Anker ファン」を作るためにAIでタイムリーな対応を実現

前田さん:正直なところ、導入当初はAIによる返信が機械的であったり、誤った内容をお客様に伝えてしまうのではないかという不安がありました。弊社の製品数が非常に多いため、その懸念は特に大きかったです。
しかし、実際に導入してみると、AIはお客様からの問い合わせ内容に基づいて製品を正確に特定し、適切なトラブルシューティングをお伝えしており、まるで実際のスタッフが対応しているかのような高いクオリティで応答できていることに驚きました。
そのため、すぐに解決策が欲しいお客様には「AIエージェント」が対応し、その分のリソースを複雑なお問い合わせ内容のお客様に割り当てることで、速さと丁寧さの両軸を追求することができ、ブランドへの安心感につながりました。
ーAIを導入することで不安なところはありましたか?
「AI エージェント」実際の対応画面
(アンカー・ジャパン公式サイトより)
人が対応するべきところにフォーカスできることがブランドの安心感へ繋がった
実働時間の削減だけでなく、より売り上げにつながるカスタマーサポートを実現
ーAIを導入したことで工数などは具体的にどう変わりましたか?
前田さん:一時返信をまず「AIエージェント」で行うことで、スタッフのメール対応の工数が劇的に削減されました。2023年から2024年にかけて製品販売数が増える中で、月間の問い合わせ数も40%ほど増加しましたが、AIを導入したことで、実働時間の増加は18%程度に抑えることができ、スタッフは電話対応によりフォーカスできるようになりました。
特にAmazon等での大きなセール時には問い合わせが急増する傾向がありますが、AIエージェントのおかげでタイムリーな回答が可能となり、購入後の不具合対応だけでなく購入を検討されているお客様の意思決定を促進することにつながっています。
セール時や閑散期でバランス良く人員配置できるようになったのも大きな成果でした。
さらに、毎週ランダムにお客様対応のクオリティチェックを行っていますが、「AIエージェント」はナレッジを正確に検索して応答するため、対応のクオリティが安定しています。

AIでより効率化し、スタッフのクオリティを高め「神サポート」へ
ー最後に、今後「AI エージェント」でやりたいことをお伺いできますか?
前田さん:現在はメールとチャットでも対応を行っていますが、今後「AIエージェント」をLINEでも導入し、より早くお客様へ対応できるよう準備しています。
また、Ankerグループの北米市場ではすでにスタートしていますが、今後は製品の交換対応まで「AIエージェント」で完結できるようにしたいと考えています。
ありがたいことにSNSなどでアンカー・ジャパンのカスタマーサポートは「神サポート」と評価いただくこともあります。この評価を維持し、スタッフがお客様へ親切に対応できる 環境をさらに充実させることで、お客様へ還元していきたいと思っています。
ー本日はいろいろお話しいただきありがとうございました!
